日南Journal

暮らす

通い続けた先に、暮らしが見えた

憧れの「農ある暮らし」を、日南で少しずつかたちに

#インタビュー

通い続けた先に、暮らしが見えた

暮らしの輪郭が見えてきた、南郷での日々

蕨野(わらびの)さんご夫妻は、いずれ移住し、農業に携わる暮らしをしたいと考えていました。
果樹栽培に取り組むことを思い描きながら、九州南部を中心に、いくつかの地域を実際に訪ねて回ったといいます。

その中で、早い段階から心に残っていたのが、日南市南郷町でした。
理屈というよりも、訪れたときの空気感や風景、人との距離感が、これからの暮らしを思い描く上でしっくりきたそうです。

何度も通ううちに、人とのつながりが生まれ、土地との距離も少しずつ縮まっていきました。
そうした時間の積み重ねの先に、「ここで暮らす」という選択が、自然なかたちで定まっていきました。

 

空き家探しは、人とのご縁から

住まい探しでは空き家バンクを活用しましたが、実際に紹介されたのは、まだ登録前の物件でした。
何年も前から担当者とやり取りを続けていたことが、思いがけないご縁につながったのです。

かつてみかん農家が暮らしていたその家には倉庫もあり、住まいとしても仕事の場としても、これからの暮らしが自然とイメージできました。購入後は、約2年をかけてDIYでリノベーション。
住みながら少しずつ手を入れ、自分たちらしい空間へと整えていきました。

 

命と向き合う仕事から、農業へ

移住前、ご主人は国立公園内で登山道の整備や管理に携わっていました。自然の中で働く、やりがいのある仕事である一方、滑落事故など、命に関わる場面に立ち会うことも少なくなかったといいます。

そうした経験を重ねる中で、これからの働き方を見つめ直すようになり、次に選んだのが農業でした。
自分たちで生産し、届けるところまで関われること。自然と向き合いながらも、暮らしとして積み重ねていける仕事であることが、大きな魅力でした。

素人から始めた、みかん農家の日々

移住当初、農業の知識や経験はほとんどありませんでした。それでも、周囲に助けられながら、少しずつできることを増やしてきました。

体力は必要ですが、分からないことがあれば地域の先輩たちに相談し、教えてもらいながら、みかん農家としての日々が形になっていきました。

 

地域とともにある暮らし

日南で農業を続けてこられたのは、地域の方々の支えがあったからこそだと、蕨野さんご夫妻は話します。右も左も分からない状態からのスタートでしたが、多くの方に声をかけてもらい、教えてもらい、助けてもらいながら、少しずつ歩んできました。その一つひとつのご縁が、今の暮らしにつながっています。

だからこそ、地域との関わりも大切にしています。地域行事や役員、消防団など、声をかけていただいたことには、積極的に参加するようにしてきました。自分たちが支えてもらった分、今度は少しでも地域の力になれれば——そんな思いが、その根底にあります。

日々の営みの中で、敷地をきれいに保つことも、周囲へのささやかな気遣いの一つ。「ここで一緒に暮らしている」という実感が、行動の一つひとつに表れています。

農ある暮らしは、特別なことではない

農業というと、覚悟やスキルが必要な“特別な選択”のように思われがちです。けれど、蕨野さんご夫妻の暮らしは、もっと等身大の積み重ねから始まりました。

地域との接点を少しずつ増やし、人とつながり、暮らしの中に農が自然と入り込んでくる——そんな関わり方があってもいい。農業との距離感も、暮らし方も、人それぞれでよいのだと感じさせられます。

 

移住を考える人へ

移住を考える人へのアドバイスとして、蕨野さんはこんな言葉を寄せてくれました。

「僕たちも“極早生みかん”の収穫期に、農業体験型のマッチングサービスを通じて住み込みのアルバイトを募集しています。一度、そうしたきっかけで地域に入ってみるのは、とてもいいと思います。

そこで知り合いができたり、応援してくれる人が見つかったり、自分のやりたいことのイメージが、きっと湧いてくるはずです」

まずは地域に足を運び、暮らしの空気を感じてみる。そんな一歩から、次の扉が開いていくのかもしれません。

日南で、暮らしを重ねていく

日南での暮らしは、決して平坦な道ばかりではありません。
それでも、蕨野さんご夫妻は一歩ずつ、自分たちらしい暮らしを築いてきました。
土に触れ、季節に寄り添いながら、人とのつながりの中で営まれていく日々。その積み重ねが、この土地での暮らしを、より味わい深いものにしています。

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